設立35周年
2016年2月
平成28年2月
  237号

発行人 片山浩子
編集人 松井三平
2016年度

定期総会
 協会設立35周年。新たな視点で
 日中の相互理解と交流活動を

  特定非営利活動法人(NPO)岡山市日中友好協会(片山浩子会長)は、2月13日、岡山駅西口のANAクラウンプラザホテル岡山で、2016年度(平成28年度)定期総会と新春互礼会、それに協会設立35周年記念講演会を開いた。
  総会では、2015年度の事業報告書、活動計算書、監査報告書を承認、新年度の事業計画書案、活動予算書案を審議し決定。莫邦富氏による記念講演会は満員の盛況だった。

2016年度 定期総会
総会 議長=天野勝昭理事、司会=高木文彦理事、
議案説明=松井三平専務理事  (ANAクラウンプラザホテル岡山)
  定期総会は、高木文彦理事の司会で開会、片山会長の挨拶の後、議長に天野勝昭理事を選出し進行した。

 2015年度の事業報告書、活動計算書について、松井三平専務理事が説明、監査報告を室賀康史監事が行い、審議の結果、承認された。
  2016年度の事業計画書案、活動予算書案も松井専務理事が提案説明、審議の結果原案通り決定した。

 また、総会に先立って、前年中に逝去した江草安彦氏、田口光代氏、木山資郎氏ら3氏に黙祷、冥福を祈った。
2016年度(平成28年度)事業計画 
  今年度の事業計画については平成28年度 事業計画書、および平成28年度 活動予算書を参照
2015年度(平成27年度)事業報告
  昨年度の事業報告については平成27年度 事業報告、および平成27年度 活動計算書を参照

協会設立35周年記念講演会 

  総会に引き続き、協会設立35周年を記念した講演会が開かれ、中国人ジャーナリストの莫邦富(モーバンフ)氏が「中国14億人市場へのアプローチ」と題して講演。

平成28年度 新春互礼会

  新春互礼会は、黒住昭子副会長の司会で進められ、大森雅夫岡山市長や中国大阪総領事館の孫忠宝副総領事ら来賓も交えて和やかに懇談した。
乾杯の発声は辻 英明岡山県立大学学長。
議会や行政、経済界関係者ら、中国留学生らも加わり盛況だった。
  あいさつ                            
                                  会長 片山浩子

  岡山市日中友好協会は、今年、設立35周年を迎えました。この間、協会に対しまして多大なご協力、ご支援を頂きまして心より感謝申し上げます。

  さて日中間のことを考えてみますと、一昨年、日中両国の首脳の会見が行われ、少しずつでも歩みが始まったかと期待しましたが、実際には、領土問題とか歴史認識等の問題があり、まだ厳しい環境下にあると思います。

  岡山市日中友好協会は、このような中にあって、民間団体であるという特色を活かした交流活動を進め、日中相互理解の促進に努めてまいりました。
  戦後70年を記念した記念誌「戦後70年と私」の発行や、中国残留孤児問題に関する講演会・シンポジュームの開催、また、認定NPO法人への移行の取り組みなどを進めました。
  このように色々の事業を通じてよい交流ができたと思っています。
 当協会設立35周年の今年は、岡山市と洛陽市が友好都市提携をした35周年でもあります。

  この一環として、莫氏による記念講演会を開催致しました。それによりますと、日中交流は今までといろんな面で違って来ているということです。
  それを認識したうえで、友好交流活動ももっと脱皮していかなければならないとの事です。今、中国を見るには新しい視点が必要であるとのお話しでした。
  私たちも全く同感で、そういった視点を踏まえながら、活動していきたいと考えています。

  今年は4月、大森市長、宮武博岡山市議会議長と共に市民訪問団として洛陽市を訪問することにしています。   洛陽市では、植樹活動の他、先に黒住教・吉備楽十六日会と、洛陽・古琴学会との間で締結された日中伝統音楽交流協定に伴って伝統音楽交流として、音楽会の開催も計画しております。
  新たに加わった天津市との交流では、青少年や女性を中心とした交流を深めたいと思っています。医療交流は引き続き進めます。

  今年も皆さまと共に、日中友好事業の一翼を担ってまいりたいと考えています。ご指導、ご支援をよろしくお願い致します。
 35周年記念事業は皆さんと共に
                           岡山市長 大 森 雅 夫 氏

  岡山市日中友好協会の設立35周年をお祝い申し上げます。併せて、岡山市と洛陽市との友好都市提携も今年、35周年となります。
  この35周年記念事業を、協会の皆さんと共に手を取り合って準備を進めているところです。

  岡山市では今年、秋、日本と中国、そして韓国、この3カ国の地方自治体の首脳が集まる日中韓3カ国地方政府交流会議を開催することになりました。
  この会議、3カ国持ち回りで、昨年は中国・浙江省の義烏(ぎう)市で開かれました。
  最初は日本の場合、東京都で開かれ、ずっと都道府県が担当してきましたが、初めて、政令市とはいいながら岡山市が担当することになったのです。

  お互い隣国である中国、韓国と仲良くすれば、経済関係もそうですが、平和の維持にもつながるだろうと引き受けさせていただきました。
  そうすれば「出会い」ということが岡山の地で実現します。ぜひ岡山で多くの方と出会いたいと思っています。

  中国や韓国の多くの自治体の皆さんに岡山を見ていただき、いろんな議論もしていきたいのです。
  中国との関係改善に、我々も一つ一つ自治体としてやれることはやっていきます。また、民間の友好協会ともいっしょにやらせていただければと思っています。
 
岡山は特別な街、暖かい街
           中華人民共和国 駐大阪総領事館 副総領事 孫 忠 宝 氏 

  岡山市日中友好協会の設立35周年、心からお慶び申し上げます。
  さて、昨年2015年は、中日両国の政府、民間団体、そして有識者の皆さまのご努力のもとで、中日関係が暖かい風に吹かれ、徐々に回復してきました。   このような喜ばしい状態になるには、岡山市日中友好協会のような民間団体の力がなくては、実現できないと思います。

  昨年、友好協会の皆さんには、洛陽市をはじめとする様々な所からの訪日団体の受け入れにご協力いただきました。
  さらに4月には、岡山市友好訪中団として洛陽市と天津市まで足を運んでいただきました。
  地元では、日ごろから中国からの留学生や研修生に対し、多大なるご支援をいただいています。深く感謝したいと思います。

  今中国は、中国人にとって最も重要な行事である春節です。14億人の中国人がほとんど実家に帰りました。
  その中には、徹夜してキップを買った人もいれば、安い給料の中からお土産をいっぱい買って帰った人もいます。

  なぜ中国人は、それほどまでに実家に戻るのでしょう。
  それは、育ててくれた両親が、そして兄弟が、親族、親友が、そういった普段大変優しくしてくれ暖かく見守ってくれた人々が、近くにいるからです。
  それらに、どうしても感謝したい、どうしても会いたい、そういう思いと気持ちがあるからです。

  今日、私は、どうしても感謝したい、どうしても皆さんに会いたいという、その様な思いで(岡山に)まいりました。  ということは、この街には、私たち中国人のことを普段から暖かく見守ってくれる皆さんがおられるのです。
  皆さんがおられるからこそ、岡山市という街が私たちにとって特別な街、暖かい街、実家のような街になっているのです。

  また、中国には昔からこんな言い方があります。
  つまり、我々人間には3つの人生があります。1つは人間として産まれる前の人生、そして次が今の人生、3つ目が亡くなった後の未来の人生です。
  そして、その3つの人生が「ご縁」という文字によって繋がっています。

  前の人生で1千回出会うというご縁があって初めて、大きな船に乗るような友達になれる。前の人生で1万回出会うというご縁があって、同じ今の人生で同じ枕を使う、つまり夫婦の形になれるそうです。
  出会うということは、とても大事なことなのです。
  今のように、私たちがここに集まって顔を見ながら、いろんな話しができるということは、何より大事ではないでしょうか。

  そして皆さん、ご縁ということを大事にしながら、これからも、未来の人生で今のように友達になれるように、家族になれるように、そして夫婦になれるように、もっと集まって、もっともっと会おうではありませんか。
 
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 協会設立35周年記念講演会                                      莫邦富氏大いに語る
           「中国14億人市場へのアプローチ」
 講演録から
 
  岡山市日中友好協会設立35周年の記念講演会は、2月13日、2016年度定期総会に併せて開かれ、会場が溢れるほどの大盛況だった。
  講師は、中国人ジャーナリスト、莫邦富氏で、テーマは「中国14億人市場へのアプローチ」。
  インバウンド事業の必要性が叫ばれる中だっただけに関心は高く、参加者は莫氏の熱弁に熱心に聞き入っていた。

  莫氏はまず「1981年に初めて来日、鷲羽山を訪れ素晴らしい瀬戸内海を見て一目惚れしてしまった。一番好きな日本のビューポイントだ」と、感慨深く語った。
  引き続き、これからの中国人観光客の動向に触れ「観光旅行ニーズの高まりを受け、これから十年間くらいで、海外旅行する中国人は今の2倍の2億人に達する」と分析。
  ピークが来るのはこれからだとも話した。

  北海道の積極的な対応や、山梨県や高知県などの取り組みなどについて紹介。
  それら先進地区の経験から「日本の皆さんがよかれと思っているやり方、良いと思っている観光資源を、外国人観光客の時は必ずしもそのまま受け入れてくれる保証は何もない」と指摘。

  「残念ながら日本の皆さんは、独りよがり、自己満足にはまる傾向がある」とも。
  一方で「中国には都市部より裕福な農村は結構ある。皆さんは、富裕層に働きかけたいと言うが、そんな
農村に一度でもセールスに行きましたか」「日本企業の勉強不足は深刻だ」との厳しい声も。
 全体的に、新しい発想の必要性と、従来からのやり方を変える勇気の必要性を強調されていた。
莫邦富さん 真庭市を訪問

真庭・須田副市長(左)と
  莫氏は、2月13日の講演に先立ち、真庭地区を訪問した。これは、岡山をもっと知りたいという莫さんの強い希望によるもの。
  協会の黒住副会長が、かねてから積極的に地域活性化に動いておられる真庭市の太田昇市長と連絡を取り、受け入れを要請。12日訪問が実現した。

  真庭市では、須田副市長、中谷秘書広報課長等の出迎えを受け、バイオマス発電の様子や、強化建築木材として注目されているCLTの説明とともに、CLTを使ったバス停や庁舎内設備などを案内いただいた。
  市長室で真庭市の紹介DVDを見、蒜山、醍醐桜を含む広い真庭市を総括的に理解した。

  また、勝山の街並み保存地域では、酒の蔵元、辻本店や明治創業から続いている河野酢味噌工場を見学した。
河野酢味噌工場で河野社長夫妻と
 
  莫氏は、辻本店では新製品の9シリーズや鳳凰という名前の吟醸酒に興味を持ち、中国でも売れるのではないかと言っていた。
  また、河野酢味噌では、紅酢が中国での販売が可能かどうか確認すると約束し、河野社長からサンプルを託されていた。
  その後、バイオマス発電所などを見学した。

  莫氏は「私は現場主義。何事も自分の目で見て、実際に関係者と語り合わないと分からない事が多い」と強調していた。

日中教育交流発表会
       交流等について報告

  本年度実施された大連との高校生交流の発表会が、2月14日、岡山市の岡山県生涯学習センターで行われた。
高校生交流の発表会
  最初に、主催者の岡山県日中教育交流協議会の岡本啓会長が挨拶、本年度の特徴を3点披露した。

  まず、戦後70年という節目の年で応募が少ないのではないかと心配したが、12名の募集に対して応募者は25名にのぼり、大いに励まされたこと。
  また、これまで3年間訪日が実現して来なかったのが、やっと迎え入れることができたこと。そして、大連滞在中の3泊がすべてホームステイで行われたことを紹介した。

  次に、今回の訪問団引率教員として生徒に同行した清心女子高等学校の山本和美教諭から、準備段階と大連での交流内容などについて発表があった。

  続いて、参加生徒の坂口恵さんが訪中の感想を発表。最初は不安だったホストファミリーとのコミュニケーションが相手の積極的な語りかけですぐに溶け込めた様子などを紹介。また坂口芽さんが、訪日団受け入れについて発表した。
  質疑応答では参加者から「中国の生徒の英語レベルは?」とか、「歴史問題などへの質問とかはなかったか?」などの質問が出た。
  英語で話す積極性はすごいが文法などをキチンと踏まえているのは日本の方が優れていたことや、政治的な懇談などをすることはなかったことなどを答えていた。

  参加者の中に、協議会の創立者で初代会長の森崎岩之助先生がおられ、日本では体験できない貴重な異文化体験をしてもらうことという設立の目的が達せられていることを嬉しく思っていると述べられた。

会員消息
【入会者】
    株式会社林原(岡山市)
    國富 保太さん(岡山市)
    山本 俊介さん(岡山市)
活動日誌
  1/ 6…早島町訪問。中川町長、高橋副町長、徳山教育長と面会(専務理事)
  1/15…理事会・総会準備
  1/28…岡山県日中懇話会理事会(まきび)
  1/31…瀬戸内日中友好卓球交流会総会
  2/12…莫邦富先生来岡。真庭市訪問(黒住副会長、松井理事同行)。     
        協会主催莫先生を囲む会(片山会長ら12名。「穂浪」)
  2/13…平成28年度総会莫邦富先生講演会、互礼会
  2/19…日中緑化交流基金事務局担当者会議(東京、砂防会館)
  
先憂後楽
  莫邦富先生の講演会は予想以上に大きな反響があった。入会希望者や、商品を中国に販売する方法や地方のインバウンドへの誘致策についての相談が寄せられるようになった。しかし、それ以上に感激したのは莫先生自身がフェイスブックなどで発信しておられる内容だった。それは、日中友好協会などのいわゆる「日中友好団体」の活動に対する率直な提言であり示唆であった。これまでの活動を見直し、地域の活性化につなげる活動をすべきという内容だ.。

  今回の講演会は、協会としては新たな挑戦でもあった。テーマが「中国14億人市場へのアプローチ」というもので、経済団体かメディアが主催するような触れ込みで行政や経済団体に後援いただき、その方面への参加者勧誘に力を注いだ。結果、予想を上回る参加者を得て、反応も良かった。

  協会の基本理念はいささかも揺るぎない。しかし、今日の日中関係、中国の経済的政治的影響力は、協会設立時の35年前とは大きく様変わりしている。この変化に協会はどう対応しているのか?地域の役に立っているのか?という自問、更に、この活動を次代につなげる努力をしていないのではないかという自責、そんな問題意識の中での講演会開催だった。

  莫先生のお人柄にも強く惹かれた。近著『この日本、愛すればこそ』にも感動した。このご縁を大切に、これからも永く指導を仰ぎたいと思っている。 (松)


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