2023年8月
令和5年8月
  278号

発行人 土井章弘
編集人 松井三平

日中友好を元気いっぱいに 日中友好をもっと持続可能に 
     日中平和友好条約締結45周年記念 西日本交流大会  
 高松に西日本から500人が参集
 日中平和友好条約締結45周年を記念した第6回西日本地区日中友好交流大会が、7月31日、香川県高松市のJRホテルクレメント高松で開かれた。大会宣言では「条約締結の初心に立ち返り、歴史から知恵や力を汲み取り、ともに日中友好を推進する信念と決意を、より一層強くしよう」と強く呼びかけた。
 
大会には、中国側から呉江浩駐日大使、大阪総領事館の薛剣総領事、そして陝西省、南昌市、大連市から訪日団が参加。日本側は香川県の池田豊人知事はじめ四国四県や西日本各地の日中友好団体、華僑華人協会などから総勢約500人が参加した。
 当協会からは、土井章弘会長、黒住昭子副会長、青年部代表の星野耕平理事、松井三平専務理事が出席した。
 挨拶に立った呉大使は、冒頭、大平元総理の墓参に行ったことを報告し「日中平和と友好を築き上げた先輩の功績を学ぶべきだ」とした上で「両国関係は困難に遭遇したからといって友好の深淵を揺るがしてはならない」と強調。
 地元香川県の池田豊人知事も「先人が築いた関係をしっかり踏まえ日中交流のリーダーシップをとりたい」と決意を述べた。
 大会宣言は、香川大学生の鄭航さんと猪塚敦智さんが日中両国語で読み上げ、満場の拍手で承認された。
 具体的には「日中友好をもっと信義を重んじるものに」「日中友好をもっと元気いっぱいに」「日中友好をもっと身近なものに」「日中友好をもっと心震わせるものに」「日中友好をもっと多くの人の心に届くものに」「日中友好をもっと持続可能に」と呼びかけていた。

日中友好をもっと心震わせるものに
 会場ではあちこちで名刺やウイチャットの交換がされ、また「幸せなら手をたたこう」の歌を日中両国の子供たちが歌うのに合わせ全員で合唱したり、高松商業高校の書道パフォーマンスが披露されたりと盛りだくさんの内容で、会場は友好ムードに包まれていた。  
一同乾杯!
             
岡山・洛陽の交流盛ん
  洛陽の外国語学校、岡山外語学院と交流 岡山市長を表敬
 岡山外語学院(岡山市、片山浩子理事長)と教育交流協定を結ぶ洛陽市の洛陽外国語学校と洛陽市外国語初級中学の生徒・教員ら30人が、7月11日、岡山市の大森雅夫市長を表敬訪問した。
 大森市長は「このような交流を通じて、日中両国の絆が深まることを願っています」と激励し、懇談した。
 一行は7月9日に修学旅行団として来日、11日に岡山入り、岡山大学や就実大学などを見学、岡山城や倉敷美観地区などを観光し15日帰国した。
 この交流は、教育交流協定を結ぶ岡山外語学院が毎年生徒を招いていたが、コロナ禍で中断、4年ぶりの実施となった。
【関連記事】
 岡山・洛陽交流の関連ニュースは、3面に日中国際連帯植樹植林事業の現地調査実施関連の記事、嶋一徹教授の視察報告。
 4面には、岡山市の子ども海外派遣事業で、岡山市の中学生6人が7月25日から洛陽を訪れた記事などを紹介しています。
 
大森市長を囲んで洛陽市外国語初級中学の皆さん
 
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 2023.上海レポート
  上海市外事弁公室主任 杜福安氏を表敬 松井三平専務理事
 岡山市日中友好協会の松井三平専務理事が、3月29日から4月1日まで、ほぼ3年ぶりに上海を訪問した。訪問の目的は、3年余にわたる新型コロナ禍の影響で中断を余儀なくされていた直接交流を、順次復活させるべく、関係者と協議し、今後の交流につなげていこうというもの。上海訪問をレポートした。

 当協会は、1984年の内山完造生誕100周年記念事業以来、40年近く上海市外事弁公室と上海市人民対外友好協会(上海友協)を通じて、福祉、教育、経済など広範囲にわたる交流を続けてきた。
 特にコロナ禍では双方の協力によりオンライン教育交流を積極的に推し進め、高く評価された。
 今年に入って杜福安氏が外事弁公室主任に就任。小生が日本人として初めて会見するという光栄に浴した。
 昨年の授賞式に参加できなかった「上海市白玉蘭賞」を、杜主任から直接授与された。この賞は友好協会を代表して頂いたものである。
 
 陵園と墓地の参拝】
 
宋慶齢陵園で哀悼の意 内山完造墓地で献花


 今回の訪問は、折しも中国の清明節の時期にあたっていた。このため、毎年この時期に開催されている国際墓参活動に参加させていただいた。
 各国の総領事館の要人に交じり、宋慶齢陵園での献花と、礼を以て哀悼の意を表した。
 その後、参加者は国際墓地へ移動し、自国出身者の墓地があるところでそれぞれの総領事館員らが墓参した。
 私は、日本総領事館新聞文化部長の米田麻衣領事と内山完造夫妻墓地に献花し、手を合わせた。

 【魯迅と内山完造書局】
 昔の「内山書店」跡地に新しい「書局」が開店

 墓参の後、上海友協の唐為紅副会長と、郭盛麟調研員の同行のもと、担当者の案内で書局内を見学した。
 書店内では若者向けに、カフェや自由閲覧コーナーが設置されており、熱心に閲覧する大学生らも多くみられた。
 見学後の懇談会では、内山先生の故郷である岡山との交流や共同研究をしていくことなどについて話し合い、当協会としても研究会の設立を検討しており、積極的に対応していくことを伝えた。
 今後の内山完造研究及び広報活動については、上海市友協の支持と協力の下、『魯迅と内山完造書局』との相互訪問を実施し、岡山と上海の両地で資料の展示や出版物発行などに取り組んでいく。またコロナで途絶えていた神奈川大学内山完造研究会との共同研究を再開し、協会に眠っている未解読資料の分析等を行うとともに、研究発表を通じて内外に発信していくこととしたい。日中平和友好条約45周年の本年、初心に戻って内山精神の発揚に努めたい。
                                                        (松井・記)
   
 杜福安氏を表敬 松井三平専務理事  「白玉蘭賞」を杜主任より直接授与
   
 宋慶齢陵園で献花  内山完造墓地に参拝
   
 魯迅と内山完造書局前で  書局内で見学し歓談
 日中植樹植林国際連帯事業・洛陽市新安県
   
植樹現場へ技術者派遣調査
  洛陽市新安県で緑化事業と取り組んできた岡山市日中友好協会は、このほど、洛陽市人民対外友好協会の招請を受け、松井三平専務理事が岡山大学農学部、嶋一徹教授と共に現地調査を実施した。
 当協会では、日中緑化交流基金助成による15年間の日中緑化事業を終え、2021年から、新たに(公財)日中友好会館の助成による洛陽市新安県での3年計画の日中国際連帯植樹植林事業を開始している。
 しかし、新型コロナ感染拡大により、この3年間は現地への実地調査や事務局の訪問もできなかった。
 本年に入り、渡航制限が緩和されたため、緑化事業のカウンターパートである洛陽市人民対外友好協会の招聘を受けて、7月12日から洛陽入りし、15日に現地での調査に入った。
 本事業の面積は3年間で31・5ha、そのうち本年は10・5haで、樹種は五角楓と油松、植樹総数2万7、195本という計画。
 今回、土壌環境管理学が専門で、国内のみならず世界各地の緑化事業に尽力されている岡山大学農学部の嶋一徹教授に現地調査いただいた。
 現地の新安県石井鎮は洛陽市内から車で約2時間。当日、洛陽市と新安県の境界線のところで郭昌偉副県長と王毅林業局長等が出迎えを受け、先導いただいた。
 天気は良く快晴だったが、気温は40度を超すような中、調査に当たった。洛陽市人民対外友好協会の張婧さんも通訳をしながら最後まで汗だくで同行していただいた。
 現地には、洛陽市友好協会と新安県林業局の尽力により、現地入り口付近に「日中友好林」と揮毫された立派な碑が立てられていた。
 碑にはこの事業のいきさつと意義が詳しく明記され、地元石井鎮拴馬村の人々にも岡山市民の友情が伝わることを期待している。(松井・記)

   
 現地に建てられた「日中友好林」の碑 植樹植林の現地 

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 洛陽市の植樹現場を視察して
                                        岡山大学農学部教授 嶋 一徹
  自然植生が徐々に回復しつつある
 五角楓は活着率高く良好な生育


 7月13日から岡山市日中友好協会・松井三平専務理事らと洛陽市を訪問し、日中国際連帯植樹植林事業助成で実施された新安県石井鎮の植樹現場を視察してきた。
 現場は黄河沿いの東向き斜面約10・5haであり、計画では五角楓(イタヤカエデ)7、770本、油松3、885本が植栽されている。
 写真を見るとこの一帯は、2002年頃まですべて農耕地であったが、2010年以降事業対象区域を含む一部区域で耕作が放棄され、自然植生が徐々に回復しつつある場所である。
 現地は「生態保護林プロジェクト」として景観回復に取り組んでいるようで、センダン(楝樹)、コノテガシワ(側柏)に加えて、日本では外来種として分布域拡大が問題となっているニワウルシ(臭椿)などの高木性樹種が灌木類に混ざり疎に分布していた。
 植栽は現地の都合で降雨の少ない時期に実施されたが、五角楓は落葉期に大型苗木の梢端部を切り揃えたのち植栽されたため、活着率が高く良好な生育が確認できた。
 しかし、耐乾性が高い油松は活着が悪く枯損個体も多数確認され、今後、潅水などの保育作業に加えて補植作業も必要であると思われた。

嶋教授(中央)と現地スタッフ
 中国東方航空
    岡山空港の上海便 8月4日から再開
 岡山桃太郎空港の上海便(中国東方航空)が、8月4日から定期便の運航を再開した。当面、週2往復体制で運航する。
 月、金運航で、岡山発は14時(上海着15時20分)。上海発は9時30分(岡山着13時)。
 上海便については、1998年に週2便でスタート、その後週7便にまで増便、年間の利用者数は6万6、000人を超えていた。コロナ禍で2020年2月から運休していた。3年半ぶりの再開。
 これで、同空港の国際路線の再開は、今年3月に運航再開した台北便に続き2路線となった。
 
中学生8人が洛陽へ 
     《岡山市子ども海外派遣事業》 異文化・異言語との遭遇!
 岡山市の子ども海外派遣事業で今夏、8人の中学生が友好都市・洛陽を訪問、現地の中学生等と交流した。
 一行は、7月25日岡山を出発、上海経由で洛陽入り。洛陽第二外国語学校を起点に洛陽の中学生らと交流。博物館や史跡などを見学。
 ホームステイがあり、中国の家庭生活を実体験、それぞれ異文化、異言語との遭遇に目を輝かせていた。8月1日帰国した。
 中学生の海外派遣は、海外の家庭や子供たちとの触れ合いを通して、子供たちの国際的視野を広げ、多様な文化への理解と国際交流の促進を図ろうと、岡山市が実施しているもの。
 コロナ禍もあって、洛陽派遣は4年ぶりだった。

  
 牡丹絵画体験
『内山完造と中西寛治との出会い』
   松井専務理事が岡西公民館で講演
 岡山・十五年戦争資料センター主催の第五回研究会が、6月24日、岡山市立岡西公民館で開かれ、当協会の松井三平専務理事が「内山完造と中西寛治との出会い」と題して講演した。
 松井専務理事は、1956年の訪中学術視察訪問団(団長・林秀一岡山大学教授ら15名)が、その後の岡山と中国の友好に大きな契機となったことを説明。
 具体的には、その後の後楽園内の郭沫若詩碑建立、中国からの丹頂鶴の寄贈などのモニュメント設置事例を紹介しながら詳しく語った。
 そして、その中心的役割を果たした中西寛治初代事務局長の、人となりや松井との出会いなどについてエピソードを交えて話した。
 中西氏は1949年に日本で初めて「日中友好協会」の看板を矢掛町の自宅に掲げ、内山完造氏に師事し生涯を日中友好に捧げた。
 そして岡山市日中友好協会設立については準備段階から協力し、今日の協会の基礎を築いた。
 約1時時間半の講演後、質疑応答の時間があり、その中では「中西さんの存在について全く知らなかった」「日中友好協会の組織経過について理解できて良かった」など多くの感想が寄せられた。
 当日は、センター代表の香月恵理岡山商大教授や開拓団の研究で知られる青木康嘉氏ら学術経験者、日中友好に関心ある市民が集まった。
 新見市国際交流協会
   総会と講演会を開催
 新見市国際交流協会の講演会と総会が、6月12日開かれ、岡山市日中友好協会の松井三平専務理事が「岡山と中国の友好について」~岡山市日中友好協会の経験と新見市・信陽市の交流経過~と題して講演した。
 前半は、1950年代に始まる岡山と中国の交流の歴史をたどり、日中友好協会の設立に至る経過や協会の活動の足跡について具体的な事例を挙げながら説明。
 後半は、故田口克己さん(五洋工業元社長)が戦中に病で倒れ、信陽の青年が敵地である日本軍駐屯地まで移送してくれたエピソードが縁で新見市と信陽市(現在は溮河区)との友好都市に到った経過やその後の活動内容を話した。
 特に日中児童キャンプ交流等民間団体として設立された「新陽会」の果たした役割、そして新見市千屋に建設されている千屋牡丹園について、苗木輸入から新陽亭建設に到る経過で山一工業の故森下衛氏や地元成地振興会の方々の果たした無償の功績について触れた。
 会場にはかつて訪中団に参加した人や、その子息など、国際交流協会会員ら約30名が参加し、熱心に聞き入っていた。
会員消息
【訃報】
 坂本 陸士 氏(和気町)
 7月1日ご逝去。坂本氏は元高校教師で永年にわたって協会活動に取り組み、特に教育交流に尽力。友好訪問団にもたびたび参加されていた。
 活動日誌
3/17…「岡山と中国」3月号発送(協会)
3/20…市立操南中学校、洛陽市東昇第二中学と友好提携一周年記念ビデオメッセージ交換(操南中学校)
3/29…上海訪問(教育交流協議~4/1、松井専務理事)
4/1…洛陽市から周勝偉氏、張麗梅さん来岡健診(岡山旭東病院、済生会総合病院~4/7)
4/17…岡山市民局(田中哲也局長)4名ご挨拶(岡山旭東病院)
4/24…洛陽市人民対外友好協会第一回理事会へ土井会長祝賀ビデオメッセージ)
5/11…中国茶会(協会)
5/19…上海白玉蘭会(東京)
5/24…第三回協会理事会
5/26…市国際交流協議会総会(西川アイプラザ)
5/27…県日中教育交流協議会総会・理事会(県生涯学習センター)
5/29…静岡県日中友好協会、細見常務理事ら2名來岡
5/30…矢掛町立三谷小学校と西安師範学校付属小学とのオンライン交流会(三谷小学校)
6/12…新見市国際交流協会総会・講演会(松井専務理事講演、新見市)
6/13…岡山市後楽館高校洛陽訪問事前打合せ
6/14…上海福苑康養健康管理公司来岡、岡山リハビリテーション病院視察(土井会長)
6/15…㈱アジア・コミュニケーションズ株主総会
6/16…上海恵敏学校卒業式に県立東備支援学校からビデオ祝賀メッセージ送付
6/17…瀋陽翼風伝力文化伝播有限公司の張新竹氏来岡、岡崎嘉平太記念館、協会訪問インタビュー
6/22…洛陽市より周勝偉氏来岡、岡山旭東病院健診
6/24…岡山15年戦争資料センター主催講演会(松井専務理事講演、岡西公民館)
6/26…洛陽市より張麗梅さん来岡、坂出聖母眼科健診
7/6…猪木理事と編集打合せ(協会)
7/12…洛陽市を訪問(~7/17、松井専務理事)
7/29…県日中懇話会江西省訪日団歓迎会(アークホテル)
7/31…第6回西日本地区中日友好交流大会(JRホテルクレメント高松)
 先憂後楽
 ▼4年ぶりに懐かしい洛陽を訪問した。コロナ禍の3年間、オンラインでの交流など頻繁に実施してきたので、疎遠感はなかったが、実際に足を踏み入れると、街の変容ぶりに驚いた▼洛陽北郊空港周辺がきれいになっていた。高架道路が何本もできていた。聞いてはいたが地下鉄が1号線2号線と開通していた。高層ビルが増えている。何より驚いたのは、隋唐時代の遺跡保存をしながらその上に往時の建築物を復元している。また、新区が活気を呈していた。今回見る時間がなかったが隋唐博物館もすごいらしい▼嬉しかったのは老朋友との再会、新朋友との出会いだ。外事弁公室との夕食会に劉典立元市長が飛び入り参加された。少し痩せておられたがお元気で友好都市交流の大切さ、日中友好を大いに語られた。洛陽の銘酒・杜康酒の30年の秘蔵酒で何度も乾杯した▼これまで13の王朝の都になった古都洛陽がいま往時の規模の都を現代風に復元しようとしている。トラクターやベアリング、ガラスなど国営の基幹工場があり、モリブデンなどの希少鉱物の産地でもある。観光、工業都市としての発展の可能性は無限だ▼日中平和友好条約締結45周年、岡山市洛陽市友好都市締結42年の本年、日中関係が厳しい今日だからこそ、地方同士、市民同士の交流を拡大して友情を温め、相互理解と相互利益を図っていく土台を作っていくのが私たち民間友好団体の役割と確信している。 (松)



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